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北辻良央 展

KITATSUJI Yoshihisa Exhibition 

 

会期|2025年5月7日(水)ー31日(土) 

休廊日|日月祝

時間|火ー金 12:00ー18:00 土曜日ー16:00 

内容|新作、近作から絵画、オブジェ、ドローイングなど20点を展示

 

 

 

photo 1:会場風景

photo 2:《聖なるものの系譜ーフリードリッヒ・ニーチェ》 2023年 鉛筆、墨、キャンバス  40.9x31.8x2.0cm

 

 

 

 

artist statement

 

“オブジェ再び”

この何年間は絵画作品を作ってきた。また特にこの2年間は、術後の極端に消耗した体力的なこともあり、彫刻的な作品を封印してきた。しかし嘗てのように技巧的でない、即物的な組み合わせによるオブジェならできるかと思った。その切っ掛けになったのは、嘗て作品写真を撮るのに購入していたコダックの” Try-X pan”(未開封白黒ネガフィルム)が、引き出しの奥から出てきた。もしかしたら、メルカリに出したら売れるかと調べたら、いくつか出品されており、大した値段でもなさそうなので止めることにした。何も記録されず全く利用価値のない状態の未開封のまま、暫く眺めていた。何の価値もない物と化した”Try-X pan”を永遠に未開封のまま保存するのに、様々な素材と組み合わせてオブジェ作品にしようと思いついた。身の回りにあるものの断片をくっつけるが、それによって何らかのイメージを作るでもない、元来フィルムはカメラのレンズを通して様々な物のイメージを記録する機能を持つが、未開封のままただパッケージだけが、色彩効果として利用されるのみであり、ちぐはぐな物の断片たちの即物的な組み合わせに過ぎない。これら6点程のオブジェ作品は、決して組み合わせによって何らかのイメージを浮上させるものではなく、作品という名の元にイメージを消去するものである。断片的な物たちが互いに浮上しようとするイメージを打ち消し合う作品である。(2025,4,29)

北辻良央