世良京子は2000年代のNYに滞在し、2012年に帰国、福岡に拠点を置き制作を続けています。発表する場に合わせ、平面作品をインスタレーションのように空間に配してゆく展示を行っています。ビーズなど光を透過する素材を用いた半立体作品は、個人の経験から湧き出る光のイメージから着想を得ています。2011年にNYで制作した平面作品と、様々な素材を組み合わせた2015年の作品、大小合わせて20数点を展示しております。ぜひご高覧下さいませ。
アーティスト・ステートメント
「いろいろと見えてくるものがありまして 透明のつぶ」
絵画に取り組むようになったころから(1988年)、それまで見えてなかった不思議なものが見えてくるようになりました。
調べてみたり判ったりしたところでは、それはプラーナだったり、グレースだったり、オーラだったり、ある種のエネルギーだったりしました。
その視力が進化して来ているのでしょうか、2年くらい前から、真夜中の暗闇の中、とても美しいエネルギーの光景が見えるようになりました。
夜中にふと目を覚ます時、見上げる闇の空間はつぶつぶの透明のエネルギーで一杯です。それらが幾何学形態や円を形作り、動いたり流れたり所々に色がついたりします。
さすがにこらえきれずに今回はこの見えてきたものを作品にすることにしました。今この見えるものを、なにがしかの作品として作ると言うことを通過しないと、これからの私の作品全体に正面から取り組めないような感覚さえ持ちました。
このような視力は一般的でないものでしょうし、ふざけたことだと思われる方もおられるかもしれません。私も実体験としてこれらを見るようになるとは思ってもみませんでした。
ともあれ作ることを決め、+Yギャラリーで発表をさせてもらうことにしています。小さなビーズで作った小さな作品です。
世良京子
今回の展示においてモンドリアンのラインを使用しました。
私は彼に対する敬意と共感を強く持っています。
神智学への共鳴が作品を支えたこと、不可視と思われているものを可視化へと臨む態度は、作家として生涯を送ろうとする私にとって大切な心の置き所でもありました。
この画廊に着いてからのインスタレーション時に、急な展示プランの変更と言うより、イメージが出てきたものですから、今回の展示内容については会期中にあらためて文章にしたいと思っています。
お読み頂けると嬉しいです。
2015.10.3 世良京子
縦と横のライン
2003年あたりから私は「クロスモデル」という作品に取り組むことになりました。いままでの作品同様、人の心理の層へのアプローチとしての作品で「マルタのクロスモデル」(認知心理学)を使いました。
この仕事をしている時、生活の中において水平、垂直を常に意識、無意識するようになりました。NYに住んでもいましたので、特にマンハッタンに出向くとき、碁盤のような道の縦横、高層ビルの縦横の多重な層の世界を生きるとき、自分の感覚の捉えが確実に変わっているのを自覚しました。
クロスモデルの制作にかかっていないときには、ただただ縦横のラインを描くということもしていました。いろんなタイプの方眼紙を買いその上にのラインを重ねる。白い紙の上に方眼の目をつくるように鉛筆で線を引く。それを手でなどり線をぼかしたり、薄く消していく。次に格子模様に具体的な形を入れていく。
作品として向かうところを作らず、ただ感度だけがしめす何かをこの頃表そうとしていたのだと思います。気持ち的には居心地の悪い時期でした。二年くらい続きました。
そのようなことをやっている中、うまく言い表せないのですが、空間の内容である縦と横が、意識、あるいは知性を持つことで幾何学形が出来ていると言う感覚を持つようになりました。
モンドリアン。
私は絵画に取り組もうと決心した頃、それまで絵の歴史、作家を含めてあまりにも知識がありませんでしたから、とにかく美術の本を読み、画集を見る、そして美術館でそれらに直接触れるということを心がけました。
多くの方が思われることでしょうが、具象から抽象に移行する過程は、なんとも不思議にあふれています。特に私にとってモンドリアンの作品の木の枝や幹が空中分解して空中に散らばる時、壮大な知覚の妙を伝えてくれる生きたカンバスでした。木の線が踊り、空中に散らばり、縦横の構成に落ち着くのを見るのは私にとって大きな至福でありなにか納得のようなものでもありました。
昨年、北九州のオペレーションテーブルで「光レッスン」の初めての展覧会をしました。日本に戻ってきてからほとんど制作もしないままでいましたので、ギャラリーと相談の上、そこでの制作の時間を頂き、「光のレッスン」という名も決め、私がかってに光の作家と呼んでいた作家の作品を使ってビーズで参加するというものでした。
その中の作家の一人にモンドリアンがいます。
私はモンドリアンの木から縦横のラインの落ち着くコンポジションの作品がとても好きですが、NYでの作品はよく判りません。
第二次大戦でヨーロッパから逃れてきてNYにたどり着き、そこに縦横の入り混じる具体的世界に、気持ち的な開放感も伴って彼はユニバースを見たのかもしれません。
NYの磁場はとても強烈で特にそのころは特に可能性に満ちていたでしょうから、多くの活気を得たのだと思います。
ただ、そうではなくもしもモンドリアンがヨーロッパで仕事を続けていたら彼の絵はどうなっていただろうか、モマで「ブギウギ」などの作品を前にして思うことがありました。
たぶん空間の中に幾何学形態を見るようになったこと、そしてモンドリアンも「進化」などの初期の絵において描いていたことなど、そして先に書いた事すべて含めた上で、今回の展示にモンドリアンのラインを使おうと思ったのだと思います。
使おう、、というよりもう少し正直に言いますと一緒にここの展示をしてみたい。あるいはモンドリアンを経験したい、、ということのほうが重要だったのかもしれません。(10月16日)
世良京子略歴
1957 福岡に生まれる
1994 第1回VOCA展/上野の森美術館 VOCA賞受賞
現代美術の展望—’94FUKUOKA 七つの対話/福岡県立美術館
1999 北九州ビエンナーレ「繰り返しと連続性の美学」/北九州市美術館
2000 文化庁新進芸術家海外派遣制度によりNYに滞在
2001 資生堂椿会展/SHISEIDO GALLERY (〜2005年まで 5回)
NY渡航 Blooklynに居を構える
2007 Making A Home- Japanese Contemporary Artist in New York: Japan Society, New York
2008 Kaleidoscope: Abstraction in 10 ways. The Harold B. Lemmerman Gallery,
New Jersey City University, New York
2012 帰国
2013 トンネルの向こうに/Operation Table 北九州
2014 光のレッスン/Operation Table 北九州
2013 天体の音楽/橘画廊 大阪
+Y Gallery
〒540-0012 大阪市中央区谷町1丁目3-27 大手前建設会館306
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